仮想化は本当に安いか

今のプロジェクトでは、共有ストレージは大丈夫なので、初期導入コストは比較的少なくなるでしょう。
オペレーションコストを計測するためにも、トレースの計画をしっかりとしなければいけないですね。
とはいえ、ツールを入れるのは。。。
データセンター側でモニタ出来ればベストかも。


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仮想化を阻む壁の破り方
 こうした「仮想化の壁」を破る必要があるが、さて、どのようにして打破すればよいのか。

 まず、「初期導入コストが高い」という壁に対しては、「スモールスタートができる」という仮想化のメリットを利用しよう。最初から大きく、完璧な仮想化環境を目指すのではなくて、小さな規模からスタートするのだ。

 そのためには、仮想化環境に本当に必要な要件を明確かつ冷静に分析する必要がある。例えば高機能ツール群は非常に魅力的なので、仮想化環境の導入時には「こんなツールも使えるといいな」というものがいっぱいある。しかし、本当に必要かというと、システムによってはそこまでの要求がなかったりするものだ。

 後からツールを追加できるシステム構成にしておくのも良い方法だろう。最初に入れなくても、いずれ追加できるような構成は、比較的簡単に検討できる。そういった構成で見積もりを出すとよい。

 仮想化環境ではスケールアウトもスケールアップも容易なので、その点を念頭において最初の規模を見積もろう。例えば仮想マシンのスケールアップは、割り当てるメモリーリソースやCPUリソースをGUIの管理ツールから増やしてやればよい。仮想化環境のスケールアウトは、より高性能なサーバーを追加していくことで実現する。リソースが足りなくなったタイミングでより大きなサーバー、より大きなストレージを用意し、仮想マシンを動的に移行していけばよい。要するに、仮想化環境をあらかじめ大きく見積もる必要は全くないのだ。


ランニングコスト、オペレーションコストの削減効果に注目を

 投資の回収プランも事前にきっちりと検討しておく必要がある。仮想化する際、初期導入コストはどうしても高く付きやすいが、仮想化環境では物理サーバーと比べてランニングコストを大幅に下げられる。ここに注目して投資を回収するのが一般的な考え方である。

 ランニングコストを含めて投資対効果(ROI)や総所有コスト(TCO)を計算するツールもある。「VMware ROI / TCO Calculator(英語)」だ。電気代、場所代のコスト削減により、何年間で投資を回収できるのかを計算する。初期導入コストを中心に仮想化の計画を立てることももちろんあると思うが、大幅にランニングコストが下がるという点をぜひ見逃さずに試算してほしい。

 さらに、仮想化によって、見えないところでオペレーションコストがかなり下がるというデータがある。海外の事例を紹介しよう。仮想化する前は、オペレーションコストのうち、インフラ管理に42%、OS/アプリケーションの管理に30%を使っていたという。だが仮想化後は、これらのコストが大幅に下がった。インフラ管理は30%に、OS/アプリ管理は15%にまで抑えられたという。浮いたお金は、インフラの改善やOS/アプリケーションの管理に追加投資してもよいだろう。

 「リソース使用率を高く見積もるのが怖い」という壁については、仮想化環境の運用開始後に、リソース配分を日常的にチューニングしていくことで解決しよう。運用時にリソースが不足する事態に備えるのはもちろんだが、逆にリソースが過剰に割り当てられているケースでは、パフォーマンスの問題などとして表面化しないため、状況を問題視せずに放置していることが多い。投資計画面では、過剰リソースの割り当ては大きなマイナスの影響をもたらす。実際には不要なリソースを与え続けていることになるからだ。

 この点についても利用できるツールがいくつかある。例えば「VMware vCenter CapacityIQ」を使うと、普段どのぐらいのリソースを要求していて、実際にどのぐらいのリソースが割り当てられているかを監視できる。この情報を基にリソース配分をチューニングしていけば、過剰なリソース購入を回避できる。仮想化環境の構築自体は比較的簡単だろうが、それだけで満足せず、必ずチューニングを続けてほしい。