イノベーションを阻害する三つの要因

空白は埋めていかなければいけないと思うが、それをどのように埋めるかがポイントだと思う。
どれだけ客観的に、どれだけ思慮深く、本質を捉えられるかだ。


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 一つ目は「Change Blindness(変化に対する盲目)」。ビジネスの世界では,あまりにも多くの変化が起きている。顧客も変わるし,競合も変わるし,新技術も出てくる。人間は,あまりにも多くの変化に直面すると,神経系統の一部が閉じてしまう。少しの変化があるときよりも,多くの変化があるときの方がかえって盲目になってしまう。顧客や競合,技術の変化に気づかなかったり,気づいても遅すぎることになってしまう。

 二つ目の問題は「Continuous Percial Attention(継続的・部分的な注意力)」。マイクロソフトのあるリサーチャーが北米のビジネスパーソンの置かれている状況を表すために作り出した言葉だという。その意味は,ある仕事をしているとき,その仕事に向けられる人間の注意力は半分しかない。残りの半分はどこかほかに向いているということだ。ミーティング中でも,メールが届いていないか気になる。注意力が継続せず,分散しているがゆえに,全身全霊でその仕事に向き合えない。英国のある学校の調査によると,1日75分以上メールをしている人たちはIQが10ポイント下がるという結果が出ている。アルコールで酔っぱらってもIQは5ポイントしか下がらないのにである。

 三つ目の要因は「Fill in a Blank(空白の充てん)」。これが,冒頭に紹介した“思い込みの問題”である。人間の脳は,本当は何の意味もなくても,空白があるとそれを埋めようとする。企業がそのような状況に入ると,まるで夢を見ているような状態になり,本当の現実が見えなくなってしまう。

 「この三つがあるから,インテリジェンスの度合いが下がり,イノベーションが阻害されるのだ」とウージャック氏は言う。イノベーションは偶然生まれるのではない。イノベーションは,意識的な行動によってもたらされる。意識的な行動とは,この三つを排除していくことにほかならない。